「ふはひひてひどいでふ、わふぁひだってこれれもみじゅーいぢでふよ? ……っくん、餓鬼だとか懐くとか子供扱いしないでくださいっ」
や、どー見ても子供やし。かいらし過ぎて撫でとーなるわ。
隣で草餅を頬張りながらくどくど文句を垂れ流しているのは沖田くんだ。
久々に合った非番。
何故二人で茶屋に足を運ぶことになったか。
勿論それには理由がある。
「饅頭の中身を味噌に入れ替えるなんて悪戯をなさる山崎さんの方がよっぽど子供ですっ!」
それは妙な噂の仕返しに、沖田くんが行李に隠してあった饅頭に細工をしたことに始まる。
俺としては一応悪気がなかった(筈)ということを考慮して控えめな悪戯にしたつもりだったのだが。
……まさか泣くとは思わんかった……。
「わかりますか? あの口に入れた時の衝撃が! 芳醇で甘やかな餡の滑らかな舌触りを頭に思い浮かべでいたところであの塩っ辛いざらっとした食感ときたら! ああ! 思い出すだけでおぞましい!」
「……ですからこうして『お口直し』に付き合っているじゃないですか」
口に入れた瞬間ピタッと固まった沖田くんが突然大粒の涙を溢して。
えぐえぐと童のように泣くから焦った。
仕方なく部屋に降り立ち、何故か俺があやす羽目に。
『お口直しに行きましょうね』
中々実行出来なかったその約束がやっと今日果たされたのである。
……もうとっくにお口直されてると思うけどな。
なんて密かに突っ込み。
例の如く、大量の甘味がその細身に吸い込まれていくのを横目で眺めるのだった。


