「……え……!?」
女は一転驚きに目を見開く。
そりゃ死にかけたと聞けば誰もが驚くだろう。
「まぁそない元気ならもう大丈夫や。お前さんの着物ももう乾いとる。洗た訳ちゃうから汚れとるんは許してや? ほら送ってくさかい、早よ着替え」
ぼん、と着物を女の前に置くと俺は背を向けた。
「……あ、ごめんなさいっ! 有り難う御座います!」
「気にしな、俺が勝手にしただけや」
後ろから返ってきた素直な反応にふっと頬を緩ませひらりと手を振る。
かいらしやっちゃ。
なんて思いながらするすると衣の擦れる音を背に受けていれば、ふとさっきの質問の答えがないことに気が付いた。
「ほんでお前さん、どっから来たんや? こんあとどこ行くねん?」
「あ、東京からです。今日は修学旅行で京都に来て、自由時間に少しつとむちゃんと会うことになってたんですけど……もう帰っちゃっただろうな……。取り敢えず皆心配してるだろうから携帯で連絡して……あ! 鞄!?」
と、またも慌てだした女の声が聞こえだした、が。
……さっぱりわからん。
「かばんて背負っとったやつか? ならそこに吊るしてあるけど……てか、とうきょうって何処や? それとけーたいって何?」
「は?」
……いや、は?、やなくて。
「異国、にしたらえらい流暢に喋りよるしなぁ……余程の田舎か?」
「何言ってるんですか、東京ですよ? 冗談キツいです。てか今時携帯知らない人まだいるんですね……。あ、鞄有り難う御座います!」
……冗談ちゃうねんけど。
けーたいってのもそない有名なんか? めっさ早い飛脚……とか?
こう常に全速力でびゅーん……
疲れるわ!! そんなん市中走っとったら俺かて知っとるし。んーほな……。
「お待たせしました!着替え完了ですっ」


