突然動きを止めたと思えば、女は緩慢な仕草で下を向き、確認するようにそっと胸元に手を置く。
不安げな様子はなりを潜め、すぅっと冷えた空気が女を包んだ。
「……あの、これは……」
「……俺の羽織や。か、勘違いすんなや!? この糞寒い中ずぶ濡れでおいとく訳にいかんやろ!? 俺はただ純粋にお前さんを助けようとやなっ」
「本当、ですか?」
「もっ、勿論や! そりゃ変わったお腰(腰巻き。下着)やなーとか、この乳に巻いてるのなんやろーとか、えらい可愛らしい乳やなーくらいは思ったけどっ」
「きゃーー!! 何か色々じっくり見てるじゃないですかぁっ!!!」
……、俺の正直者ぉぉっ!!
や! そらしゃあないで! 見るて!
だってっ! 俺かて男子(オノコ)やしっ!!
「しっ、しかも私がこっそり気にしてることを……っ! ぅわぁぁん! どーせ幼児体型ですよっ!!」
「だ、大丈夫や! 何も乳は大きさだけやない!お前さんはええ形しと
「きゃーー!! 変態っ!!!」
るぅ゛っ!?」
ひゅん、と風を切るように飛んできた拳を顔面すれすれで受け止める。
な、中々ええ腕しとるやないかい……。
怯えさせないようにとその手を極力優しく包み込み、横から顔を覗かせれば女は真っ赤な顔できゅっと口を結び、潤んだ目でぷるぷると俺を睨んでいて。
まるで子猫に睨まれているようだとその様子に小さく苦笑し、静かに口を開いた。
「……川から上げた時は呼吸ものぅてな、体温も生きてるとは思えん程低かった。年頃のお前さんには悪いけどこうするしかあらへんかったんや、堪忍な?」


