食人姫

「お前ら……こんな所で何をしとる!!」


怒鳴り声と共に入って来たのは……包丁を握り締めた麻里絵の爺ちゃんだった。


パチンと部屋の照明のスイッチを入れて、怒りに満ちた表情を俺達に向ける。


「麻里絵は巫女になるんじゃ!お前らのようなクソガキに邪魔をされてたまるかい!」


「やべえぞ大輔!逃げるぞ!」


包丁を振りかざして迫って来る爺ちゃんから逃げる為に、俺達は窓から飛び出した。


屋根を走って隣の家の敷地に飛び下りて、急いで門から出た。


化け物の事なんて考えもせずに。


それが……俺達の失敗だったと気付いたのは、道路に立ちはだたる多数の人影を視界に捉えてからだった。
















「こんな時間に何をしとる。この辺りが騒がしいと連絡を受けて来てみれば。どういうつもりじゃ?」













そう言って、手にした猟銃を俺達に向けて構えていたのは……哲也の爺ちゃんだった。


それはただの脅しじゃない。


集会所で反対派を撃った時のように、本気で俺達を撃つ気でいる。


「麻里絵に……会いに来たんだ」


俺がそう言うと、爺ちゃんは険しい顔つきになり、ボソリと呟いた。


「この二人を捕まえぃ。あそこに放り込んでくれるわ」