私は、設計士ねおねーさんがいることも忘れて、力いっぱい戸を閉めた。
とりあえず、篤くんに電話しなきゃ。
プルルルル…
プルルルル…
「はぁい」
いつもの篤くんの声。
嬉しくて、少し涙が出る。
「篤くん、話があるの。
いまから会える?」
私は心臓をバクバクさせながら、聞いた。
「…ごめん
今、友達とマック」
そうだよね。
終業式終わったばっかりで、空いてる方がめずらしいよ。
「…わかった。」
私は泣きそうになりながら答えた。
「でも、夕方ならいいよ。
なんかあったの?元気なくない?また連絡するよ。」
「…うん。」
篤くん。
やっぱり大好き!
やさしいなぁ。
あんなに虚しかった心の中が、一気にあったかくなった。
私って、本当に幸せものかも。
とりあえず、
グタグタ考えててもしょうがない。
出発は明日なんだから、
準備しなきゃ。
あっちでも夏祭りとか、あるよね。
浴衣は着たいし。
パパに聞いてみよう。
…前向きになれたのは、篤くんのおかげだよ。

