私が出発するときも、蓮君が部屋から出てくることはなかった。 おばさんが笑顔で送りだしてくれる。 また、この家に来ることはきっとできる。 そう自分に言い聞かせる。 こんなにも蓮君が愛してくれた体が愛しい。 孤独に耐えながらひっそりとあの部屋で過ごす蓮君にとって、私が少しでも役に立てたなら、それを喜ぼう。 蓮君の孤独をまぎらわせることができたなら。 帰りの車の中で、何度も何度も蓮君と重ねた夜を思いだす。