ひーくんは夏期講習が終わって帰りの途中なのか、電話に出た時からひーくんの周りからは誰かの話し声や車の音など雑音が混じってた。



誰かといるんだろうなって感じはしてたし、外にいるのも分かってたし、それらが気にするようなことじゃないのも分かってた。



……だ、け、ど、



気にしたくなくても気にせざるを得ない状況だって時にはある。



こんな寛大な心を持つあたしでも。




「なになに?喧嘩?」




ひーくんの声と同じくらいの大きさで聞こえた声。



高く透き通るような………女性特有の声。



別に浮気とか女遊びが再発したとか、そんな風には思わないけど………いざ、ひーくんの近くに他の女の人がいるって考えると胸が苦しくなる。



声の大きさからいって、相当ひーくんに密着してるに違いない。



さぞかし可愛くてスタイルが良くていい匂いがするんでしょうね。



………考えなきゃいいのにマイナスな方向にしか考えられなくなってしまう。



これもある意味、恋をしたハンデなのかもしれない。