Half&Half










「あ、もう鐘鳴るから私席戻るね。」
「もうそんな時間なんだ?」
「そりゃ休み時間は短いからな。」

何て言いながら戻っていく玲と藍ちゃん。

「あ、そうだ鈴ちゃん。」
「んー?」

藍ちゃんは突然こっちを向いて、私の耳元に顔を寄せてきた。

「‥?、藍ちゃ、…?」
「王子様の隣、ちゃんと堪能しなさいね。」
「‥!」

硬直する私に、藍ちゃんはニヤリと笑って席を離れて行く。

“あー、もう忘れてたのに!”何て、そんな心の叫びは誰にも通じない。

藍ちゃんは絶対楽しんでる。
そりゃそうだ、からかうのも無理はない。

何せこの学校の王子様が隣の席なんだから。

女子皆が羨ましがる席。

でも、でもでもでも!

流石にその王子様に嫌悪感露わにされたら誰だって羨ましい何て思わないでしょ?!

「‥はぁ、…。」

小さく溜め息を零してなるべく隣を見ないようにする。

そうこうしている内に鐘が鳴って、及川先生が朝の連絡で教室に入って来た。