ふいに自分の手を見つめて、蘇る王子の手の感触。
私なんかより全然大きくて、でも白くて、滑らかな感触がした。
ピリッと走った電流も思い出して、ほんの少し手がピクッと反応する。
あの時走った電流は何だったんだろう。
ただの静電気…?
でも、何故だかそんな気はしなくて。
何て言うか、もっと、何かを決定付ける様な、そんな電流。
「‥何考えてるのよ、」
冷静に考えると、やっぱりただの静電気。
違う様に感じるのは私の馬鹿な妄想のせい。
頭では分かってるのに、それでも期待してしまっている。
「…っ、」
どうしたって言うの。
朝まで、話すまで全然気にしてなかった癖に。
今は、こんなに気になっていて。
「っ、っ、…!」
その理由に気付いて顔が真っ赤に火照る。
熱でもあるんじゃないかって位。
心臓の跳ね具合が異常だ。
だって、今日が初対面なのに。
ただ名前呼ばれただけの癖に。
そんな事わかってる。
あまりにも自分の気持ちが軽すぎて、認めたくないけれど、
私は、間宮秋のことを好きになってるんだ。

