「…っ、‥ああああっ、もう!」



ゴロゴロと家のベッドで寝返りを打って、大きなうさぎのぬいぐるみを抱き締める。

まさか、あんな王子様みたいな人を名前呼び出来るようになるだなんて。

「し、しかも、す、鈴って呼び捨てに。」

自分の名前を、あんな風に呼んで貰える日がくるなんて。

私の名前を今日程素敵なものだと認識した日は無い。

思い出しただけで顔が火照ってしまう。

「…ほんとに綺麗な人だったな、‥王子。」

本当に絵本の中から出てきたような王子様で。女子皆が憧れるのも理解出来る。

なのに女子が集ることの出来ない様な不思議な雰囲気を纏った人。

そんな人と隣になっただけで、奇跡みたいな事なのに。

私はそれ以上を望んでしまいそうで、怖い。