「あ、つか近藤、お前よくそんなに知ってんな?王子の事とか名瀬とかさ。」
何て突然話題を変えて、玲は感心した様に呟く。
頬杖を付いているから、制服の袖口から灰色のセーターの袖が少しはみ出た。
「てかこの位の知識、この学校の女子は大体知ってるわよ。」
「…女ってすごいのな。」
「まあね。でもまぁ、鈴ちゃんは特殊なケースだけど。」
「っ、」
突然名前を出されて、ビクッと震える。
「だ、だって、興味無かったから。」
「普通あんな美形が居たら興味持つのが普通なのにね。」
「いんじゃね?鈴が逆にそんな情報に詳しかったら、俺引くわ多分。」
「は?!」
突然そんな事を言って、両手で腕をさすりだす玲。
「確かに。鈴ちゃんは何も知らないのが鈴ちゃんらしいもんね。」
「あ、藍ちゃんまで…。」
「ま、情報を知らない馬鹿鈴の方が愛嬌あるって事だな。」
「っ、ば、馬鹿は余計でしょうが!」
そう言って、ガタンッと席が揺れる。
私は玲の頬を両手で挟んでそのまま引っ張った。
「うおっ、ちょ、なにすっ、‥!?」
「何って、馬鹿って言ってくるその口を黙らせてやろうっていう寸法よ。」
「っ、やめっ、いてぇっ、…!」
ふにいっ、と引っ張っる玲の頬は、男の癖に柔らかくて肌が綺麗で少しムカつく。
「わりすずっ、わる、かった、って‥!」
「っ、次憎まれ口叩いたら、元に戻らない位引っ張ってやるから。」
何て言い放って、ふい、と顔を逸らす私。
謝る玲の頬から手を退かした。
その途端痛そうに顔を歪めて、両手で頬を包む玲。
「ほんと暴力的だな鈴は。可愛くねえ。」
「っ、暴力的にさせてるのは玲でしょ!」
そう言って、べーっ、と舌を出せばケラケラと玲は笑って。
「ほんと仲良しだよね、アンタ達。」
「どこが!?」
呆れた様に笑う藍ちゃんに、私はそう言って頬を膨らませた。

