「鈴ちゃんすごい。今日1日で王子とあんなに仲良くなっちゃうなんて。」
「へ、いや、普通に話してただけだよ。」
そう言いながら、学食のラーメンをずずっ、と吸い込む。
学食のテラスの真ん中らへんで、私は藍ちゃんと座っていた。
玲はクラスの離れた同級生の子達と一緒に食べてる。
「てか、それでも十分凄いわよ。あんなに話し掛けにくいオーラ放ってるのに。」
「…?、そんなオーラ全然感じなかったけど。」
「あるよ!こう、何て言うか威圧感みたいな、‥そんなやつよ。」
「ええー?」
藍ちゃんにそう言われて首を傾げる。
威圧感何て全然無かったのに。
オーラ何て、そんなのも全然無かった。
「すっごく良い人なのに。気さくで、日本語になまりも全然無くて。」
「鈴ちゃんにだけは通じないのかもね、そういうオーラみたいなの。」
何て呟きながら、藍ちゃんはメロンパンを一口かじる。
「あ、そういえば皆すっごい噂してたのは気づいてた?」
「え、…噂?」
「そう。王子と仲良く喋る女子生徒が現れたーって結構噂広まってたけど。」
「うわ何それ、最悪。」
昔から私は、噂とかそういう類の物は大嫌いだった。
あることないこと根掘り葉掘り噂されて、軽蔑されたり嫉妬されたりする。
だから私は、噂とか聞いても聞き流したりとか、関わらないようにしていたのに。
王子と喋ったりするだけでそんなに注目されてしまうなら、一体どれだけ王子は苦痛な生活をしてきたんだろう。
「何だよ鈴、お前ラーメン食ってんの?色気ねえなぁ。」
「うぐっ、玲、っ、」
突然ヒョコ、と横から現れた玲に驚いて、啜っていたラーメンで蒸せそうになった。
玲は紙パックのジュースのストローを口に加えていて、私達の席に向かい合う様に座る。
「っ、私が何食べようが自由でしょ。てか食べ物に色気求めないでよね。」
「ほら、あるじゃん自分で弁当作ってくるとかさ?」
「学食があるんだから良いじゃない作らなくたって。」
何て言い返して、私は麺の最後の一口を口に運んだ。

