「で、遙さん、答えは…?」
「え、えっと、…。」
突然の答えの催促に口ごもる。
与えられた紙切れには、
“P148のL10の文を読み上げて。”
そう書いてあったから、そのままそのページを読み上げた。
「あ、当たってます、よね、…?」
「ええ、…正解ね。」
そう言われて、ドッと緊張が緩む。
先生は今答えた答えを黒板に書き出していて。
これでもう今日は当てられる事は無さそう。
「‥あ、」
カサ、と紙が小さな音を立てる。
そうだよ、王子にお礼言わなきゃ。
助けてくれたんだから。
「…、」
でも、どうして助けてくれたの?
さっきまで嫌悪感露わな顔してた癖に。
何て疑問が渦を巻いて、とりあえずお礼を言おうとチラリと視線を隣に移す。
「‥っ、…、」
─────ドキッ、
心臓が跳ねる。大袈裟な位。
だって、さっきまで真剣な顔で前を向いていたその顔が、私を捉えているから。
緑色の澄んだ瞳に吸い込まれそうで、クラクラする。
頬杖を付いたその仕草は、まるで雑誌のモデルのようで。
「‥っ、あ、…、」
何とか意識を引き戻して、とりあえず小声で“ありがとう”と呟いた。
すると彼はクスッと笑う。
その優しい顔にドキドキした。

