目の前の君は



私より10000000kmも先に行く



輝いた人で、



多分私と彼は繋がらないと思ってた。



もう、


一生、目の前に現れてくれない人。





それでも、





ーーーー私の夢は、




彼と恋愛映画で共演して







ーーーーーキスをする事。






だったのに、





自分が悔しくて、

どうしてこんな状況で




最悪な



ーーーーーキス



を迎えたんだろう。









「へー。ファースト....キス....なんだ。」




彼は、泣きじゃくる私に背を向けて、


淡々と言葉を並べた。




....苦しくて、なんでそんな風に簡単に言えちゃうんだろうって






「.....さ、最悪です...ね。」





また、私は彼に気を使って






そう、嫌われたくないって



敬語を繰り返す。





「そんなんいちいち気にするなって、気持ちなんてないから。」






........そんなこと言われたら全てが終わりだと思った。





「....っ...なんで」





なんで、胸のどこかに


それでも、


これ以上嫌われたくないって気持ちがずっと居続けるの。




「なんでっていうか。黙れよ。」





私は、彼が好きだ。




最悪な龍斗くんが好きだ。





ーーーーーだけど、






「あっ.....そうですか。」





やっぱり、この人と私の距離は遠すぎる。




甘えてしまった。



今までの私は彼の小さなかけらな優しさに





少しばかり甘えてしまったんだ。







「ま、いねこは、もう、俺の彼女に変わりないから」




低い声で、俺から逃げるなよと

言われた気がした。




.......キスも



私へのモデル申請も



全部、私が彼の奴隷である事の



印なんだと思う。





「っ......わ、私は....」





「いいから、しゃべるなって、泣きながら喋られても...」




いつの間にか向けられた私への彼の眼差しは、



目を細めて、まるで小さな何かを守るような


優しい瞳。






........なのに、






「...がちで、うっとい。」



うっといという言葉は、


まぎれもない事実で




「.....意味、分かんない...です。」



「だから、黙れって、泣いたってなんとも思わないし、うっとおしいって言ってんの。」



「っ」




涙が、ピタリと止む。




彼の表情が悲痛なほどゆがんで、

私のことをこんなにも嫌いなんだと




思いさせられる。