奇跡のようだった五人の出会いに、別れはあっけなく訪れた。しかも、こんな訳の分からない形で。「最善を尽くしたのですが……」と繰り返す医者も、雪那が助けた少年とその両親の感謝と謝罪も疎ましく聞こえた。彼らがこの場に居たら、酷い言葉を吐いてしまっていたかもしれない。

 明日にはこの訃報が伝えられ、雪那が自らファンのみんなに明かそうと決めていた“秘密”も、勝手に報道されるだろう。彼女はこんな形で真実を伝えたかった訳ではない筈だ。それを思うと、一人が欠けたQuintetのメンバー達にはどうしても憤りが生まれてくる。



「僕達も、まさかこんなことになるなんて……大事な娘を二人も失うなんて思ってませんでした……」



 雪那の父が呟くように言う。声には覇気がないが、傍らに立つ妻の肩を優しく抱き、周りにも気を使わせないようにしているのが窺える。



「頼星君……皆さんも、雪那の顔を見てあげて下さい。」



 雪那の母も、彼の意図を汲み取ったのか、微笑して言う。“悲しみを見せてはいけない”と、そう思ったのかもしれない。