薄暗い公園の小さなベンチに、リカは下を向いて、一人で座っていた。


ゆっくり近づいて行く俺に気付くと、リカは顔を上げた。



リカの目は、涙で濡れている。



「歩太・・・来てくれないと思った・・・。」



俺の胸に飛び込んできたリカを、俺はどうする事も出来なかった。



抱きしめたい。



そう思っても、もう一人の冷静な俺が言うんだ。



今ならまだ、引き返せる。





「圭太の言った事は気にしないで。誤解してるだけだから・・・。」




「・・・もう、慣れてる・・・。」



悲しそうな顔をするリカに、俺は軽く笑ってみせた。




「もう遅いから、送ってく。」



リカの体を離すと、

「嫌っ!今日はずっと歩太の傍にいるっ!帰りたくないっ!」



そう叫んで、リカはまた俺の体にしがみついた。




リカの体温が、すごく温かくて、離したくないと思った。



もう・・・リカが好きだと言う気持ちは、自分自身を誤魔化す事が出来ないくらい、大きくなってしまっていた。




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