ワンピースの裾をシワになるんじゃないかってほどぎゅっと掴む。
『これだけは、どうしても…』
言えない。
「………わかった、リンちゃん。もう聞かないから安心して。ね?」
「なぁに甘っちょろいこと言ってんだよハルキ。そんな奴ら俺らが先に潰しちまったほうがはえぇって」
「まぁ、確かにツバサの言う通り潰しちゃった方が大々的に探せるっていう利点はあるけど、
でもリンちゃん、なんか手がかりがあって逃げて来たんでしょ?」
そう、手がかりならある。
だから私はこの街に逃げたんだ。
コクンと頷いた私に
「手がかりがあるんならもっと早く言えよな!!」
ツバサさんの言うことはごもっとも。
けれど、私には本当にそれが手がかりがなのかがわらない。
『私、この街でお母さんと生活してたことがあるんです。もう随分昔ですけど…。
だから、もういないかもしれないけど、住んでいた家に行ってみようと思ってて…』
「へ〜、そーなんだ。それはでかいね。住所わかる?」
『ごめんなさい…覚えてないんです…風景とか標識とか、あと、近くにあった公園とかなら覚えてるんですけど……』
難しい顔をするハルキさんに、私はごめんなさいとしか思えない。
協力してくれるって言ってくれてるのに、こんなにも手がかりがないだなんて。
でも、私にはこれに縋るしかない。



