その日は確か、お母さんと買い物に行った時の帰り道。







『……っ…うぅ…』



小さな男の子が、転んだのかわからないけれど、膝から血を出し、泣いていた。



お母さんが待っているし、行かなきゃだけど、必死に耐える男の子の姿がなんだか気になってしまった私は、

『内緒だよ』

そう呟いてその男の子の膝に手を当てた。



強くあろうとする男の子に

治れ、治れって気持ちを込める。


お母さんはこの”力”は気持ちが大切なんだって言ってた。






『りん?!何してるの?!早く来なさい!!』


『あっ…!お母さん!』