「っにしても、この堅苦しいスーツ着なきゃなんねぇのがなんとも……」



「ちょっと。カケルくん、なにネクタイ取ろうとしてんのさ。決まりなんだから我慢しろよ。」




「どっかの姫さんと違って脱走してねぇ分、ネクタイなんてどーってことねぇだろ」



カケルと呼ばれた男が解いたネクタイを乱暴にポケットへ押し込む。





「脱走なんて…あの女は馬鹿なんだよ。僕達は選ばれた人間なのに。逃げれるわけがないのに」


アヤトは読んでいた本をパタンと閉じて、重たい腰を上げた。





それにつられ、カケルも「さてと…」と、その場を立つ。