さっきまで興味なさそうにそっぽを向いていたアカリもこちらをじっと見ていて、 まるでどう答えるかを待っているようだ。 まだ春なのに、嫌な汗が出そうになる。 しん、と静まり返った部屋。 その沈黙を 「全くツバサはデリカシーってやつがないな〜」 ハルキが破った。 「いや、だいだいこの女…「ツバサは黙ってて」 ハルキはちょっと強めの口調でツバサを制すると、救急箱を開け、私の足元にしゃがみ込んだ。 「名前、俺にも教えてくれる?」 ハルキによる、有無を言わせぬ尋問の始まりだった。