「ドレミファソラシドの基本はこう、ミでくぐってファでまた親指に戻す」 白鍵盤を指で弾きながら音階を昇ってゆく わたしの頬に触れるか触れないかの距離にまさふみ先輩の横顔がある 「ドレミ………ファ?ん?」 どうしても親指が下にくぐらず続けて薬指でファを弾いてしまうのだ 先輩はちょっと笑ってわたしの頭を優しく撫でた 「ピアノはここまで、他の遊びでもしよっか」