わたしは瞼をぴくりとも動かさず、ただ静かに流れる時間のなかでかずゆきの気配を感じとっていた 厚くて大きな手のひらがわたしの額に触れると 「熱はないな」 と低い声が響きわたった それからかずゆきはわたしの左り手を手にとると自分の頬に手の甲を触れさせた