それは吉永もも子だった 彼女は息をきらしながらこちらに向かってやってくる 「…井上くん?」 ただならぬ気配を感じさせながら僕は吉永もも子に声をかけた 「吉永さん、奇遇だね。そんなに慌てて一体どうしたの?」 「もも子知らない…、結城マナカなんて知らない…」 殺気走る表情でうわごとのようにまだ訊いてもいないことを口にしていた これはマナの身になにかあったに違いない