以前かずゆきに触れられた場所を捜し当てて確かめていた 自分で自分を慰めるものかもしれない そんなことを覚えてしまっていた 「かずゆき…」 吐息とともに漏れたのはかずゆきの名前だった そのことに意識がはっとして我に戻ると 「汚らわしい」 わたしは呟いて、浴槽に頭をつけた そんな日に限って浴槽に使っているバスクリンは桜の香りだった