俺はきゅっと唇をかんで、もう一度、葵に覆いかぶさった。


「嫌やったらすぐに言うてな」


ゆっくりと唇を這わせる。

……冷たい肌。

胸も、腕も、髪も、何ひとつ今までの葵と変わりないのに。



葵。
何て顔してんねん、お前……。

全然、大丈夫ちゃうやんか。

俺が触れるたび泣きそうになってるやんか。



必死に耐えるように、きつく目をつぶっている葵。


もうこれ以上、俺は続けられへんかった。



「今日はやめとこ」



俺はとなりに寝転び、葵の体を抱きよせた。



「水野が本心から俺としたいって思うまで、急ぐ必要ないやん」

「でもっ」

「俺が絶対に水野を守る。
だから……ゆっくり、な?」

「……」