華岡の行為は最低な裏切りやったと思う。

軽蔑した。
正直、汚いって思った。


その後ウッチーは3日間学校を休み、4日目の朝、やつれた顔で登校してきた。


教室にはもう華岡の姿はなく、俺がウッチーに昼飯をおごる必要もなくなったわけやけど

俺は約束の1ヶ月が過ぎるまで、きっちりおごってやった。


そのくらいしか、俺がウッチーにしてやれること、思いつかんかったから……。




俺らの間では暗黙の了解で、華岡の話題はタブーになった。


そうして時間が淡々と過ぎ、やってきた高校2年の冬休み。


――今度は
俺と葵の幸せが崩れる番だったんだ。







「卓巳、どっか出かけるんか?」


1月1日。

玄関でスニーカーのひもを結ぶ俺の後ろから、父さんが話しかけてきた。


「うん、初詣行ってくる」


「やけに嬉しそうやなあ。さては彼女と行くんやろ?」


「まあね~」


にやっと笑って俺は立ち上がる。


「じゃ、行ってきます」