知られたくない思いと分かってもらいたい思いがぶつかり合って、自分から打ち明ける気なんかさらさらないのに、それでもボクの変化に気付いてくれたことを嬉しいと感じてしまった、――ついさっきのあの時間が悔やまれる。

ついでにすっかり忘れ去って放置していた悩みの種をわざわざ拾い上げて届けてきやがった。

この

「モンスターめ」

色黒モンスター……炎属性。

ボソッと呟いたボクの声と、赤茶色い頭を見てうっかり吹き出した笑いをもちろん純平は聞き逃さない。
誰がモンスターだ、とボクの頭を小突きながら、

「誤魔化すなよ」

そう迫ってくる純平に対する答えはもう決まっている。

「……ヤキモチ妬くなよ、純平」


響先輩のことは――、もう一度、フタをした。
ズルい、自分。


純平は、ボクの狡さを見逃した。