【完結】遺族の強い希望により

「ごめんなさい、勝手に。あの、わざとじゃなくて……ドーナツを差し上げようとした時に、たまたま布に手が触れて台の下が見えてしまって」


家探しのようなことをしたと思われるのだけは嫌で説明を試みたが、自分でも見苦しい言い訳としか思えず、声は尻すぼみに小さくなっていく。

家の雰囲気にそぐわないやたらと派手な缶だったから余計目についたのだ、もしそうじゃなければ勿論開けるつもりなどなかった。
本当はそこまで伝えたかったはずだが、途中で恥ずかしくなって中途半端なまま口を噤んだ。


「ドーナツ……?」

と、さして重要ではない部分を拾い上げて玲奈の母親は首を傾げる。

「玲奈が好きだから。げ、元気になればと思って……」

「まあ。それを仏前にも?」

「すみません」