【完結】遺族の強い希望により

傷みは未だにあるのだろう。
喪失だけではなかった。
裏切られ罵られ誤解され騙され、その傷口はまだ新しい。

けれど、どこか清々しいような表情で玲奈は宙を見つめた。


「幸せであれ。それが父の遺した、最後の言葉」

「……うん」

「私、そういたいと思う。母も同じこと言ってた。だから笑って生きようって」


高嶋隆司の手紙の行間から、玲奈が感じ取ったことは他にもあった。
父は強制する言葉にはせずに、沢山の教えを遺していた。

優しくあれ。
強くあれ。
そして、正しくあれ。

玲奈がそう話す言葉をひとつずつ噛みしめるように、みのりと亮は静かな相槌を入れた。


「……ね、2人の赤ちゃんのお墓参り、私もしておきたいな」

そう言ってふわりと微笑んだ玲奈は、みのりが良く知る高校の頃と変わらない、天使のような優しい空気を纏った少女だった。