私が気づかないうちに目の前にいた。知らない間に考え込んでいた。

「玉置先輩は、矢野の別の姿ってみたことありますか?」

「別の姿って?」

別の姿とは捉え方によっては、人それぞれになるもんだから、なんて言ったらいいのか一瞬だけど戸惑ってしまう。

「意地悪をしてきたのが、急になんもしなくなったり。実は体育会系だったりとか・・・。」

「私はみたことはないなー。でもそれって、間宮さんにだけかもよ?」

「私に?」

「そう、私は以前矢野にあなたとの関係を聞いたことがあるの。そしたら彼は、俺が一方的に覚えてるだけ。みたいなことを言ってた。」