「そっか、そうなんだ……。
私ね、愛実は吉田君のおかげで杉田君のことをふっきることができたんだと思ってた」
冷たい風が理子の髪を舞い上げた。
理子の瞳には、私達はそんなふうに映ってたんだ。
「愛実が杉田君に失恋したって聞いた時、愛実がまた酷く落ち込んじゃうんじゃないかって心配したんだ。
だけど、思ったより元気だし、吉田君と仲良さそうだから
ちょっと安心してたんだ」
理子はいつも優しいね。
こんな私に優しい言葉をいっぱいくれる。
本当のことを言わなきゃ……。
理子には、嫌われても本当の私を知ってほしい。
勇気を振り絞って話そうとした時、
突風が私の口を塞いだ。
そして次の瞬間、理子が私より先に口を開いた。
「それじゃあ久美子の応援していいんだね」
笑顔の理子に、私は何も言えなくなった。