「愛実はどうしてわざわざ東京の大学に行くの?」 「ん~、どうしてかな……」 真っ直ぐな瞳で聞く志則に、答えられなかった。 答えられるはずがない。 杉田君が東京に行くって噂を聞いて、私はただそれだけで東京の大学に行くことを決めたんだから。 私には夢や希望がない。 答えを濁した私の頭に、志則が手を乗せた。 「夢を見つけに行くの?」 志則の優しい眼差しが、私の胸をキュンとさせた。 「うん……」 涙が溢れそうになる。 志則に見られたくなくて、志則の肩に顔を置いた。