「重い?」 「すげー重い」 「私のことバカだと思ってる?」 「すげーバカだ」 志則は何も聞いてこなかった。 こんな情けないことを聞かれても困るけど、 聞かれないのも寂しい。 志則の背中の温もりを感じながら、志則の頭に積もっていく雪を見ていた。 「志則、私の家ここを左だよ」 志則が右に曲がったことに気づいて慌てて言った。 「わかってるよ」 ぶっきらぼうに答えた志則。 その足は志則の家へ向かっていた。