早く行って!! そう願う前に志則は歩きだした。 志則の黒い姿が窓から消えて、私は顔を上げた。 目の前の歩美さんは泣きやんでいて、杉田君と微笑み合っている。 もう私は用済みだよね? クラクラする頭の中で、どうやって席を立とうか考えていると 歩美さんが笑顔で口を開いた。 「愛実さん、ありがとう」 今が席を立つタイミングだ…… そう思ったのに、歩美さんが嬉しそうに話し始めた。