歩美さんが注文したカフェオレがテーブルに置かれると、杉田君が歩美さんの手を握りながら話し始めた。
「歩美、俺と愛実は歩美が誤解するような仲じゃないよ。
俺は歩美のことが好きだから」
歩美さんの瞳から一滴の涙が零れ落ちた。
「本……当……?」
「本当だよ。なあ? 愛実」
「うん、本当ですよ。
杉田君は、歩美さんのことしか見えてませんよ」
「よかっ……た……」
ポロポロと涙を流す歩美さんを、杉田君が強く抱き寄せた。
向かいに座っている私は、そんな二人を見たくなくて窓の外に目を向けた。
早く二人の前から消えたい。
今すぐ泣きたい。
ねえ、杉田君
本当に泣きたいのは私だよ?
私の心はズタズタに切り裂かれてるんだよ?
誰か気づいて……。

