「わかった。……彼女に言ってあげる」 私は今にも泣き出しそうなのに、 杉田君はそんなことには気づかず笑顔で「ありがとう」って言った。 「もうそろそろ来ると思うから」 腕時計を見てそわそわし始める杉田君。 その腕時計は、私と付き合っていた頃から付けていたものだった。 時計は変わってないのに、 杉田君の心の中は変わったんだね。 切なさが溢れて、テーブルの下で手を握り締めた。