ココアがテーブルに置かれた。
白い湯気がふわふわって浮かび上がる。
この硬い空気を温めてくれるように思えた。
杉田君が口を開くまでは……。
「愛実、俺を助けてくれる?」
ココアに口をつけた私に、杉田君が少し震えた声で言った。
杉田君を見ると、真剣な眼差しで私を見ている。
私はココアをテーブルに置き、杉田君に笑顔を向けた。
「いいよ。杉田君のためならなんでもするよ」
本当にそう思った。
大好きな杉田君のためなら、どんなことでも力になりたい。
杉田君のためなら、なんだって出来るような気がしたんだ。
杉田君は私の言葉を聞き、安心したように肩に入っていた力が抜けた。

