「帰るね」



帰ろうとする私を、志則はいつものように駄々をこねて後ろから抱き締めることなく、

ポンポンと優しく2回頭に手を乗せた。



「じゃあな」




志則の声に振り返らず部屋から出ようとした。


だけど、ドアを閉めようとした時、再び志則の声が聞こえた。




「そいつにふられたら、また俺の所に来ていいよ」




最後まで笑顔の志則。





「ばーか!」




もう戻って来ませんよ!!


私はそんな思いで志則に振り返り、

そしてドアを閉めた。