志則のことは、ずっとただのクラスメイトだと思ってた。

特別な感情なんてこれっぽっちもなかったよ。



友達でも恋人でもない

ただのクラスメイトだった。





私には、他に好きな人がいたしね。



ずっと大好きだった隣のクラスの杉田君。


杉田君に告白された時は、スキップしちゃうほど嬉しかった。


だけど半年付き合って、私は杉田君にふられた。


『友達に戻りたい』って……。




その後、杉田君はすぐに彼女をつくったけど、

私は杉田君のことが忘れられずにいたんだ。










「やべぇ、塾の時間過ぎてた!」


教室の時計を見た志則が叫んだ。



「吉田君って塾に行ってるの?」


「ああ、大学受験を控えてるからね。
どうしてくれんだよ、塾の時間が終わるまで帰れねぇよ」


「私のせい!?」


「八時まで俺に付き合え!」




強引な志則に負けて、一緒に教室に残った。





この時の私は、

これから二人の関係が変わっていくなんて、思いもしてなかったんだ……。