嘘じゃない


夢じゃないんだ……。





動き出せないまま志則の名前を呟いた。



「志……」


「――ん?」


「志則……」




志則の瞳が見たいのに、

視界が涙で歪んで見れないよ……。



大粒の涙が頬に零れ落ちた瞬間、

クリアになった視界の中で志則の声が聞こえた。





「見つけに来たよ」







志則の声が青い空に響き渡った。


私の心のずっと奥まで……。





そっと手を差し出した志則の瞳は

綺麗な星空の下で、初めて手を握った時のように優しかった。






ずっと、


ずっと待っていたよ。






あなたの




その微笑みに




その眼差しに






私はずっと会いたかった……。