落ち込みそうになっていた私に、翔太君が突然口を開いた。
「あのお兄さんも、愛実ちゃんと同じことを言ってたな……」
「お兄さん?」
翔太君は、目を丸くしている私に、嬉しそうに教えてくれた。
「うん。
この前家族で旅行に行った時、体調を崩して病院に連れていかれたんだ。
全然大したことないのに、お母さんが心配しちゃってさ……。
その時に会ったお兄さんに、このスケッチブックを見せたんだ。
俺の悩みを聞いて
『恋のチカラを信じろ!』って言ってくれた」
恋の チカラ……?
「俺、恋のチカラを信じてみるよ!」
一生懸命生きて
恋をしている翔太君が輝いて見えた。
とても輝いて見えた。

