「今、慌てて何か隠したでしょ?」
「えっ!?」
私の声にドキッとした翔太君がスケッチブックを床に落とした。
それを拾う私に、翔太君が恥ずかしそうに口を開いた。
「俺、好きな人がいるんだ……」
「好きな人?」
「うん……」
翔太君は私からスケッチブックを受け取ると、顔を赤くしながら一番後ろのページを開いた。
そこには優しい瞳で微笑んでいる女の子がいた。
「同じ学校の子なんだ。
俺、こんな体だし、自信ないんだけど……気持ち伝えてみようと思うんだよね。
愛実ちゃん……どう思う?」
不安げに私の顔を見る翔太君。
翔太君は恋をしている顔だった。
不安……だよね。
好きっていう気持ちはとても素敵なものなのに、
相手に伝える時はすごく不安になるよね。
そんな時、誰かに背中を押してもらいたくなる。
『ガンバレ!』って言ってほしくなる。
私もそうだったから。
私の時は、理子と小百合と久美子が私の背中を押してくれた。

