だけどこの気持ちは言っちゃいけないよね。


言ったら志則も苦しくなるよね……。




志則の背中に、聞こえないように小さく囁いた。


「志則……」




気づくはずのない私の声に志則が振り返り

私の胸がドキッと高鳴る。




「俺もだよ」









どうして気づいたの?


どうしていつも気づいてくれるの?


私が求めると、志則はいつも振り向いてくれる。





また泣きそうになっている私に

志則が微笑み手を差し出した。






私はその手を掴んだ。




ずっと求めていた


とてもとても大好きな手を……。