昼休み、トイレに向かった私の肩を、誰かがトントンって叩いた。


大きな手の感触から、私はすぐに志則だと思い、

「なに?」って睨みつけた。




振り返った私の胸は、ズキッと鋭く痛んだ。




「杉田君……」



そこには、真剣な表情で私を見ている杉田君が立っていた。



凄く驚いた。

杉田君が私に会いに来るなんて……。


そして、何よりも杉田君を志則だと勘違いした自分に驚いた。




どうして間違えることが出来たんだろう。


あんなに好きだった杉田君の手なのに。



杉田君の手や声、

杉田君の全ては


私にとって特別なものだったのに……。