「私ね、明日仙台に行くんだ。
志則の夢がきっかけで、作業療法士になる夢を見つけたの」
私の言葉で志則の表情が変わった。
「私にとって初めての夢なんだよ。
志則のおかげで見つけられた夢……
だからこそ大切にしたい」
嬉しかったんだ。
初めて見つけた夢が
志則の夢と重なったように思えて。
とても、とても大切な夢なんだ。
「志則への想いも同じくらい一番大切なの。
私には大切すぎて、大事すぎて……
今、志則に甘えたまま仙台に行ったら、きっと私もこの想いもだめになっちゃう。
だから、だからね……」
笑顔でいたい。
笑顔で言いたいのに
涙が溢れてくるよ……。
歪んでいく視界の中で、温かいものが私の唇に触れた。
「一人で話を終わらせるな」
私の言葉を止めるように
志則の手が私の唇を塞いでいた。
俯く志則の顔は
月の光だけでは見えなかった。

