「吉田君に仙台に行くこと伝えたの?」
私の気持ちを察した理子が耳元で聞いてきた。
「ううん……」
首を横にふった私に驚いて久美子が声を出した。
「えっ! まだ言ってないの!?」
「うん……」
「どうするの? 明日仙台に出発するんでしょ!?」
「そうなんだけど……」
わかってる。
このまま離れたくないよ。
だけど気持ちを固めるのに今朝まで時間がかかっちゃったんだもん。
「今日は二人っきりになるのは難しそうだね。
夕方からの祝会が始まるまで、吉田君は高木君たちと一緒に遊ぶらしいよ。
さっきその話で男子が盛り上がってたもん……」
小百合の言葉で私の心が更に焦りだす。
どうしよう……。
志則は私と話す気ないのかな?
こんなに悩んでるのは私だけ?
焦りが苛立ちに変わり始めた時、担任の及川先生が教室に入ってきた。

