まだ志則と私の関係を怪しんでいる女子の視線が気になり、
教室にいる間は、私も理子たちも今朝の話題を出せなかった。
女の子って鋭い。
一度気になると、とことん追求したくなる生き物。
昼休みになり、教室から離れた廊下に出た私たちは、
そこでやっと解放されたような気がした。
「ごめんね。
私のせいでみんなまでいやな思いさせて……」
「そんなこと気にしないでよ」
「そうだよ。愛実のためならあんなのへっちゃらだよ!」
小百合と久美子の笑顔に、私はまた助けられた。
「それより……いいの? 吉田君に会わなくて。
教室では話せないでしょ?」
理子の言葉に頷いた。
「会いたい……。
だけど会ってなんて言えばいいのかわからないよ……」
「大丈夫。会えばきっと何か言えるはずだよ。
それに、何を言いたいのかより、会いたいっていう気持ちの方が大切でしょ?」
会いたいっていう気持ちの方が大切。
理子の言葉が胸に響き、私は笑顔で三人に言った。
「行ってくる」

