「市ノ瀬愛実さん!!
僕と付き合って下さい!!!!」
私に触れそうな距離に右手を指し出した志則が、目を瞑って叫んだ。
「さあ~、どうする!?
市ノ瀬愛実はその手を握るのでしょうか!?」
冗談ともとれる志則の告白に、男子が面白がって実況中継のまねをする。
なんなのよ、これ……。
これって本当に告白?
志則は嘘をついてるんだよね?
だからこんなふざけた告白するんだよね?
そんなことわかってる。
わかってるのに
どうしてこんなに戸惑うんだろう。
スパッとふっちゃってこの場を終わらせればいいだけなのに。
きっと志則もそれを望んでいるはずなのに……。
ほんの少しの不安がよぎる。
もし志則の気持ちが本心だったらって。
そんなこと、絶対ありえないのに……。

