サッカーゲームに熱中して3時間。

志則と私のペアが圧倒的な勝利だった。


志則がゴール前まで上手くボールを運んでくれて、私はシュートボタンを志則の合図で押すだけ。

私の役目はそれだけだったのに、ゴールが決まると凄く嬉しくて

「やったー」ってはしゃいじゃった。




私以外のみんなは、疲れて床で眠っちゃった。


時計を見ると、もうすぐクリスマスが終わってしまう時間になってた。



なんだかんだいって、けっこう楽しいクリスマスだったな……。



隣で眠っている志則の寝顔を見ると、

子供みたいに気持ち良さそうに寝息をたてていた。




今日、本当に失恋してたんだね。


志則が私の体に触れた時、本当はちょっとだけ失恋したなんて嘘だと思ったんだ。


志則の視線や温もりに、私は寂しさを感じなかったから。


いつもの、志則だったから……。



志則、あんたは本当に最低な男なんだね。



「サイテー」


志則に向かって呟いた。


そしたら、むくって志則が起き上がった。



もしかして、私の声で起きちゃった?



志則が虚ろな瞳で私を見た。



「愛実……?」


「な、なに……?」




志則の瞳がどんどん近づいてきた。


志則の薄い唇が、視界の中でどんどん大きくなっていく。



やっやめてよ……?

こんな所でキスなんかしないでよ??