午後の授業が始まる前に、志則は教室に戻ってきた。


高木君の「告られたの!?」って言うひやかしに、

志則は「うるせぇ」と答えるだけだった。



牧野さんに告白されたら、志則は付き合っちゃうと思った。

二人の姿を見た時、このまま志則は教室に帰ってこないと思ったんだ。


だけど、志則は帰ってきた。


たった5分がとても長く感じた。

そして、凄くほっとした……。





私は志則のこと疑ったんだよね。

牧野さんと付き合って私との関係を終わらせるんじゃないかって。



ううん……

たぶん、それは今に始まったことじゃない。


失恋をした日に私を抱ける志則を、私はいつも疑ってたんだ。

誰か素敵な人が現れたら、風のように飛んで行っちゃうんじゃないかって……。



だから、私は志則を好きになりたくなかった。

恋をしたくなかった。


嫌いな所を見つけては志則を最低と思い……

そう思っていたら一緒に居れると
心のどこかで思ってたんだ。